かつては、DDTは万能な殺虫剤のように言われ、実際、非常に効果が高かったから、農業用よりもむしろ、ノミやシラミなど衛生害虫の駆除に多用された。
30代以上の人なら、大掃除の時など、畳の下なんかにまいたのを覚えているだろう。
それより10歳くらい上の人なら、終戦直後に頭髪や襟首から直接かけられたり、上空から飛行機でまいていたという記憶があるはずだ。
日本だけではなく、世界中で、衛生害虫を駆除し、悪疫を防ぐ目的で大量に使用された。
WHOのマラリア撲滅作戦に威力を発揮し、DDTの発見者ミューラー博士はノーベル賞にも輝いた。
しかし、DDTは化学的に安定で、自然界への残留期間が長過ぎた。