かつては、DDTは万能な殺虫剤のように言われ、実際、非常に効果が高かったから、農業用よりもむしろ、ノミやシラミなど衛生害虫の駆除に多用された。

30代以上の人なら、大掃除の時など、畳の下なんかにまいたのを覚えているだろう。

それより10歳くらい上の人なら、終戦直後に頭髪や襟首から直接かけられたり、上空から飛行機でまいていたという記憶があるはずだ。

日本だけではなく、世界中で、衛生害虫を駆除し、悪疫を防ぐ目的で大量に使用された。

WHOのマラリア撲滅作戦に威力を発揮し、DDTの発見者ミューラー博士はノーベル賞にも輝いた。

しかし、DDTは化学的に安定で、自然界への残留期間が長過ぎた。

残留農薬検査

発ガンの危険は農薬よりマッシュルーム

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1987年4月、米国の権威ある科学雑誌『サイエンス』に、衝撃的なレポートが掲載された。

「考えられる発ガン危険性のランキング」と題したこの論文は、「392種類の化学物質について動物実験を行った結果、合成化学物質の60%、天然化学物質の45%に、少なくとも一種類以上のげっ歯動物に発ガン性が確認された」と報告し、それらについての「発ガン危険性」のランキングについて述べている。

発ガンの危険は農薬よりマッシュルーム?

残留性や発ガン性が問題になって、使用禁止にされた合成化学物質農薬よりも、一日一個のマッシュルームを食べる方が、はるかに発ガンの危険が大きいというわけだ。

衝撃的でないはずがない。

しかも、この論文の発表者が、カリフォルニア大学のB・エイムズ博士(と二人の共同研究者)だったことで話題はさらに大きくなった。

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農薬が猛毒物であるかのように言われることが多いのは、かつて使われていたパラチオンなどが、急性毒性が強いため、しばしば中毒事故を起した印象が残っているためと思われる。

魚毒性が強く、田んぼや川のドジョウやフナが死ぬような農薬が使われたこともあった。

これらの多くは今は使われていない。

DDTやEDBなどは、効果が高いうえに製造コストも安いので、世界中で広範に使われた。

しかし、土壌中に長く残留することがわかり、日本をはじめ先進国で使用を禁止している。

「最近の農薬は、当時のものとは違う」と農薬関係者は口を揃える。しかし、多くの人たちの不安の原因なのだから、何がどう違っているのか、説明してもらわねばなるまい。

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日本の農政のあり方には、多くの疑問が

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「私は、コストの問題もあるし、農薬を少しでも減らそうと思っています。だけど、メロンなんかだと、前よりは減らしているけど、アブラムシがちょっとでもつくと、その分泌物で皮の表面が汚れて、それだけで、もう40%も値段が安くなるんです。そんなんじゃたまりませんから、やっぱりクスリを使います。それとメロンの場合は、土壌病害がコワイから、ある程度は使わなきゃならんだろうね」

作物によって、あるいはその時々の天候によって、使い方に差はあるが、「イモなら、値段を二倍にしても無農薬ではできない。他の作物も、全然使わなければ、自家用にする物も取れなくなる」と口を揃えた。

農産物価格の問題、輸入自由化の問題、減反政策と、今の日本の農政のあり方には、多くの疑問を感じている。

何よりも「若いモンが将来に希望を感じられなくなっていくようじゃ困る」

○○さんの若い頃、「少しくらい高くても売りに出ている土地があれば思い切って買って、規模拡大しようという気持ちがあった。今はないね。」

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防除日程を決めるのは大変(残留農薬検査)

他の作物もそうだが、収穫したお茶に農薬を残留させることは、絶対に許されない。

だから、収穫をいつにするかを十二分に計算したうえで、防除日程を決めるのだから大変なのである。

お茶農家にとっては、4月下旬から5月初句の一番茶が、収入の80%近くを占める。

しかし、二番茶、三番茶も収入になるし、茶樹を保護するためにも、一番茶の摘採が終ったら、病害虫がつかないように、早目に防除をしておきたいところだ。

しかし、近隣でまだ摘採が終っていなければ、たとえ自分の茶園であっても絶対に農薬を散布してはならないことになっている。

「いいお茶を作ることが、ここが産地として生き残れることだし、産地の中でやっていくためにはルールは守らねばならない」現場の方の言葉である。

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曲がらないきゅうりを作るためには

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「曲がらないきゅうりを作るために、農薬を使っているという話を聞きますが」と聞いてみたら、ひと呼吸置いて笑われた。

「曲った方がいいっちゅうなら、いぐらでも売ってやる。(曲がるのは)肥培管理をうまくやらないからだ。水分をまちがったのと窒素が不足しているせいだ。ちゃんと手かければ、きゅうりは曲がらねエ。まあふつうはA級(まっすぐ)とB級(曲がっている)では味はそんなに変わんないけど」

いずれにせよ、十分に手をかければ、手をかけただけ、きゅうりはたくさん、いいものがとれるそうだ。

もうひとつ、○○さんが強調したことがある。

農薬のために、カエルやどじょうがいなくなったという話についてだ。

「(農薬が)全然関係ないことはないかもしれないけど、洗剤やら何やら、生活排水の方がよっぽど悪さをしているはずだ。農薬使わねば、虫喰いだらけで売れる物は出せない」

○○さんもまた、後継者難にあえぐ最近の農業の実情を強く危惧している。

「ハウスやら、機械やらの資材費に金かけて、(投資分を回収していないめ)やめたくてもやめらんない人も多いんだ」

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1988年に完成した安全性研究所(残留農薬検査)

大阪市春日出に、1988年に完成した〇〇化学の安全性研究所は、この種の施設としては国内最高の水準の設備だ。

「施設や設備の技術革新のテンポは非常に早いので、いつまで、"最新鋭"と言っていられるか」

所長は謙そんするが、地上7階地下1階、延べ床面積2万500平方mのこの建物には、総額80億円もの(設備も含む)巨費が投じられた。

研究室、実験室の全てがコンピュータによって結ばれ、実験データなどの情報が全部、直接コンピュータに入力されるという、凄い。
実験者はまず、全身をよく消毒したうえで、実験着に着換える。

そして、クリーン廊下と呼ばれる、きれいな空気が送られている所を通って、実験室に入る。



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製剤開発の難しさ

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農薬の浸透移行性が強いということは、散布した時にムラがあっても、植物体にくまなく成分がゆきわたるし、土壌処理剤にしても、根から茎葉部分に届くということだ。

「これはいける」ということで、各種の誘導体を含めて、類縁化合物を200以上も作り、その年のうちには特許対応も終えた。

ところが、製剤開発がなかなかうまく進まない。

当初は粉剤を狙ったが、効果がいまひとつ不安定であったのと、ようやく酸性白土を使って製剤化にこぎつけた粉剤が、自社の主力殺虫剤である「スミチオン」と混合できないということになった。

そのころはまだ少なかったマイクロカプセル化なども検討したり、結局、78年から81年あたりまで足踏み状態が続いた。

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慢性毒性試験(残留農薬検査)

慢性毒性試験は、発ガン性試験とだいたい同じような方法で行うので、ラットについては、併合試験にしてもいいことになっている。

つまり、農薬摂取によって、腫瘍発生-発ガンがあるかどうかも同時に観察するわけである。

ところで、この発ガン性の観察という点で、一つのやっかいな問題がある。

対照群、つまり農薬を投与していないグループにもガンは発生するということだ。

何しろ、飼育期間は、彼らの全生涯に相当し人間でいえば60年、70年にあたるのだから、12ヵ月、16ヵ月とたつと老齢化も進む。

もちろん、試験動物の全ては、コンピュータ管理によって、温度や湿度、日照時間(人工灯だが)などが細かくコントロールされた環境下で飼育されるのだが、やはり、年には勝てない。

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新しい化合物といっても、たとえば、エチル基をどこに付けるかを変えるだけでも、また別な化合物になる。

そういう場合の数え方は、人によってまちまちのようだが、一般的には、優秀な研究者で1週間に1つか2つの新規化合物を合成するどいわれている。

全く独創的に考えて作られたもの、既存の農薬と類似の構造をもつもの、医薬品など他の用途に合成されたものや、その類縁化合物などの新規化合物のほか、天然の生理活性物質も、農薬の候補化合物となるし、天然物をヒントにその類縁化合物を合成して候補化合物にすることも多い。

現在、カーバメート系、有機リン系とならび、殺虫剤の三大派閥を形成している合成ピレスロイドは、もともとは、除虫菊の成分であるピレトリンという物質を合成して、実用化したのがルーツだ。

その類似化合物(つまり親戚)が十数種類ほど開発され使われている。

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